通信の自由を脅かす「偽基地局」への立法的対応を急げ

2025

近年、通信の自由と個人のプライバシーを脅かす重大な脅威として、「偽基地局(IMSIキャッチャー)」の存在が世界的に注目されている。これは、携帯電話の自動接続機能を悪用し、通話情報や位置情報などを傍受する不正な装置である。国際的には、捜査機関のほか、政治的監視や企業スパイ行為に使われた事例も報告されており、日本においても公共空間での使用が疑われるケースが指摘されている。

このような偽基地局による通信傍受は、わが国の憲法21条が保障する「通信の秘密」に対する重大な侵害である。にもかかわらず、現在の国内法では、偽基地局の使用や保有に対する明確な禁止規定は存在せず、電波法や通信事業法の一部条文によって消極的に対応しているにすぎない。国民の通信の自由を守るには、抜本的な法制度の整備が不可欠である。

私は、以下の三点を政府および国会に対する緊急提言として強く訴えたい。

第一に、「偽基地局の使用・所持の明確な違法化」である。

米国や欧州諸国では、偽基地局の所持や無許可使用を刑罰の対象とする法制度が整備されている。日本においても、意図的に他人の通信を傍受する目的で電波を発信する行為は、明確に犯罪として規定すべきである。特に、議員・報道機関・外交官・活動家などの通信が標的になった場合、民主主義の基盤そのものが揺らぎかねない

第二に、「公共空間での電波環境監視体制の構築」である。

空港・鉄道・国会・官公庁・学校・病院など、人の往来が多い場所や公共性の高い施設では、常時モニタリングによって不審な基地局の存在を検出する仕組みを整備すべきである。地方自治体や通信事業者と連携し、民間技術を活用した監視ネットワークの整備が求められる。

第三に、「国民への啓発とプライバシー教育の強化」である。

偽基地局は、可視化が難しく、一般市民が気付かぬうちに被害に遭っている可能性がある。学校教育やSNS・メディアを通じて、暗号化通信の活用や個人情報の保護意識を高める啓発活動を国家主導で行う必要がある。

日本は世界有数の通信インフラを有する国であるが、その安全性と信頼性を確保するためには、サイバー・電波空間の防衛にも真剣に取り組まなければならない。偽基地局への無策は、通信の自由のみならず、国家の安全保障や選挙の公正性すら損ないかねない。

私は、通信の秘密と自由を守るため、国会における法整備を促し、技術・法・倫理の三位一体による包括的対策を提案していく所存である。

お問い合わせ

victory@takagikosuke.jp
埼玉県議会議員 髙木功介県政調査事務所
〒330-0061
さいたま市浦和区常盤2丁目9番19号
髙木功介公式ホームページ