科学技術倫理とは何か

2024

科学者の倫理は、一般的な倫理とは大きな違いがあることを知った。科学者の倫理と一般人の倫理の違いは、科学者は倫理基準がない世界に最初に踏み込む存在であるためである。科学技術の最先端の価値とすでにある価値は「違う」からである。そのため、自分でガイドラインを作らなければならない。

工学者の倫理とは、技術の実践における行為・行動の設計であり、どのように行動・設計するのかが重要である。そのベースになるのが、倫理綱領や価値観である。そのためには、既存の倫理綱領や価値観をまず知る必要がある。海外における学会の存在意義は、その倫理基準を会員に知らしめ、共有することにあり、わが国の学会と大きな差異があることを知った。逆に言えば、わが国の学会もそうした倫理綱領の共有を積極的に行う必要があろう。

自身の所属を学会に求めているところに、大きな意義を感じている。研究者は個人の研究が基礎になっているが、その所属は組織が変われば変わってしまうが、学会は一回入会したら不変である。そうした意味でも学会の倫理綱領への意識を高める必要がわが国にはあるように感じている。自分でガイドラインを作るにしろ自分自身の倫理にのみ依存するのは変化や欲望に対応できなく危険である。連帯保証的な圧力が必要である。

海外の学会の倫理基準に共通するのが、「エンジニアは、その専門職能上の職務を遂行するにあたり、公衆の安全、健康、福利を最優先しなければならない」という基本原則である。ところで、真にプロフェッション(専門家集団)の概念は日本にはあるのであろうか。プロとは、専門的なトレーニングをし、社会的に対する独占的なサービスをする(医師・弁護士、神父等)職業人を指す。そのため高い報酬も得る。その専門性ゆえに、同業者同士で行動を管理する必要が出てくる。学会が倫理綱領を重要視する理由はここにある。

技術者は人類の利益のために、自然の力を判断するものである。人類の利益とはなにか、この問いは、人によって違う、アーミッシュに聞いたら違う答えがある。つまり、倫理(特に志向倫理)は、技術者にとって「周辺」領域ではなく、自己の存在意義にかかわる中核問題であることの認識が必要である。技術者は倫理的に仕事をすることにより社会に福利をもたらすとともに、自分自身も「幸せ」になれるものである。

お問い合わせ

victory@takagikosuke.jp
埼玉県議会議員 髙木功介県政調査事務所
〒330-0061
さいたま市浦和区常盤2丁目9番19号
髙木功介公式ホームページ