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(1)薬剤耐性菌:都市河川に 「感染症発生の恐れ」――東京工科大(毎日新聞 2013.09.11 東京夕刊 8頁 社会面)
この記事では、「研究チームは2011~12年、東京都内の多摩川で、上流から下流までの約65キロの8地点で水を採り、そこに含まれる大腸菌を調査した。その結果、採取した大腸菌計3452株のうち75株は、感染症治療薬「第3世代セファロスポリン」が効かなくなる耐性を持っていることが分かった。人の生活に影響が出る中下流の4地点では3・1~4・5%に達し、上流の4地点の0~1%と比べて高かった。下水処理施設で大腸菌を基準値以下にしてもゼロではないため、薬剤の効かない大腸菌が大便とともに下水に排出され、川に流れ込んだとみられる」と言ったものである。
講義ではベトナムにおける薬剤耐性問題について取り上げ、下水処理の重要性を説かれた。比較してわが国の下水処理は優れているので、こうした課題は途上国のものだと理解していた。無論、この記事のデータはコリスチン耐性遺伝子についてのデータが載っていないので、日本とベトナムの河川との比較はできない。しかし、わが国でもこうした薬剤耐性を有する菌が検出されていることにショックを覚えた。つまり、東京都のように優れた都市であっても、この薬剤耐性問題は忍び寄っていることを表している。わが国は、ベトナムと違い抗生剤は処方箋なしでは購入できない。そのため、ベトナムのような過剰な薬物汚染はないと言えるが、医師の処方についても、過剰処方にならないように慎重になる必要はある。現に、過剰投与に対する注意喚起を医師会などではしているが、医師がその怖さを認識し患者やひいては国民も認識する必要があるように考える。実際に、私の家内は医師だが、その怖さと課題を知っており資料をくれた。それには、(1)同じ抗菌薬を使い続けることを避ける。(2)投与期間を厳密に考える。(3)分離された菌が原因菌か否かを見極める。(4)低用量投与を避ける。としたガイドラインが載っていた*1。